ピアノの寿命と買い替えのタイミング

ピアノは買ってからどれくらい保つものなのか?

扱い方などによってピアノの寿命は大きく変わってきますし、それによって修理するか買い換えるかどうかも変わってくると思います。

ここではピアノの寿命の平均一般的な買い替えのタイミングをまとめています。

ピアノの寿命

一般的なピアノの寿命は60~70年程度と言われています。

メーカーや機種によってはもっと長い場合も短い場合もありますし、メンテナンス状況によっては100年以上経過してもまだまだ弾けるピアノもあります。

ただ、平均的な価格で一般家庭に置かれるピアノで、かつ一般的なお手入れ頻度(年1回の調律など)の場合、60年を過ぎたピアノは寿命かなと思う部分が増えてきます。

それ以上寿命を伸ばそうと思うと調律や調整だけでは厳しく、修理やオーバーホールが必要になってきます。

オーバーホールを行えば寿命を数十年伸ばすことも可能

「少し調子が悪い箇所がある」

こういった場合の修理費はそこまで高くなく、1箇所数千円で済むことも多いです。

ただ、何十年も使ってきて「寿命かな?」と思うことが増えてきたピアノの場合、それ以上寿命を伸ばそうと思うと普通の修理ではなくオーバーホールが必要になってきます。

オーバーホールはピアノにとってはいわば大掛かりな手術なような物で、アップライトピアノで2~30万円ほど、グランドピアノで4~50万円ほどの費用がかかります。

オーバーホールを行えば寿命は倍の100年近くに伸ばすことも十分に可能です。

ただ、オーバーホールで必ず元の響きに戻るというわけではありませんし、人間と同じでどれだけ直そうと年数が経てば経つほど問題が起こりやすくなってきます。

思い入れのあるピアノは長く使いたいものですが、寿命を伸ばす=気持ち良く弾ける状態が長く続くわけではないということは頭に入れておきましょう。

買い替えのタイミング

ピアノの寿命の平均は60~70年程度と言いましたが、一般的な買い替えのタイミングがそれと同じかと言われたらそういうわけではありません。

というのも、やはり寿命は寿命。

寿命近くで健康な状態というのはあまりないと思います。

音の響きがそこまで気にならないという場合は寿命で買い換えるというのでも良いかもしれませんが、基本的には音が悪くなってきたり、不具合が多くなってくると気持ち良く弾くことは困難になってきます。

それを考えると、やはり買い替えのタイミングは寿命より短いスパンでやってきます。

こちらは寿命よりもさらにケースバイケースでは思いますが、一般的には20~30年程度で買い換えるという方が多いです。

実際の経験談や専門家の意見は?

実際の経験談や専門家の意見もまとめてみました。

一般的な寿命は60年

ピアノ調律師
一般的に寿命は60年とされていますが、オーバーホールを行えば100~120年と倍近く寿命を伸ばすことも可能です。ただ、本格的なオーバーホールはアップライトピアノが1台変えてしまうくらいの値段になるので、そこまでの思い入れがあるかどうかだと思います。

寿命は突き詰めて言えばないと思う

ピアノ調律師
突き詰めて言えばピアノに寿命はないと思っています。ただ、中の痛み具合や音ズレの頻度、調律後の音の止まりなどの面を考えると、個人的には40年程度が気持ち良く弾ける年数なのかなと思います。

楽しみ方は人それぞれ

ピアノ販売・営業
以前古いピアノを再生して出展されているイベントに参加したことがあります。その中には100年以上経っている物もたくさんあって、音はもちろん良くない、内部も所々不具合が出ている物ばかりでした。しかしそのイベント自体はとても評判が良く、昔を懐かしむというコンセプトが受けて私を含め皆さんとても楽しんでいました。経年劣化によるどうしようもない部分はあると思いますが、ピアノの楽しみ方は人それぞれだと思いますし、寿命を決めるのは結局持ち主なんだと改めて感じました。

買い替えサイクルの提案は10~30年が一般的

ピアノ販売・営業
ピアノの販売業者であれば、一般家庭のユーザーであれば20年くらい、ピアノ教室などの先生であれば10年程度で買い替えを提案しています。修理も行う業者の場合は4~50年程度で進めることが多いと思います。

3~40年でオーバーホールか買い替えを勧める

ピアノ販売・営業
楽器店の場合は基本的に3~40年程度経っていたら買い替えを勧めます。修理技術のあるお店であればオーバーホールを勧めることもありますが、お店としては買い替えてもらうことが理想なので、まずは新品を勧めて、ダメなら中古を勧めるという感じですね。

毎年調律・調整が行われていれば50年でも現役で活躍出来る

ピアノ調律師
毎年調律・調整されているピアノは2~30年程度では全く問題なく使用出来る物も多いです。以前伺ったお宅は毎年か2年に1回のペースで調律調整がされていて、中を見ましたが不具合もほぼなくとてもコンディションの良い状態でした。メンテナンスがされていないピアノであればこの年数だとまず痛んでいるものですが、そのピアノは後20年は現役で活躍出来そうに見えました。

まとめ

ピアノの寿命や買い替えのタイミングに関しては本当に色々な意見があります。

多い意見としては寿命は60~70年、買い替えは20~30年のサイクルというものが多いですが、結局はどちらも自分が決めるものです。

これが正解というものはなく、色々な意見を参考にして後悔のない選択をすることが大切です。